半月板損傷に対する治療方法
保存治療(手術をしない治療方法)
①炎症を抑える内服薬や外用剤の使用
引っかかるような痛みが強い場合にはあまり効果が期待できませんが、水がたまるなど、炎症が強い場合には炎症を抑える内服や外用剤を使用します。
②ヒアルロン酸やステロイド剤の関節内投与
ヒアルロン酸は関節の滑りをよくして軟骨を保護する役割を持つ薬剤です。
ステロイドは炎症を強く抑える作用をもつ薬剤です。
痛みや腫れなどの炎症の症状が強い場合に関節内に注射投与します。
③膝を支える筋肉を強化し支えをよくする
大腿四頭筋やハムストリングスなど膝を支える筋力を増強することで半月板にかかる負担を軽減します。(詳しくはこちら膝の痛みに有効な運動、ストレッチをご覧ください)
などがあります。これらの治療で効果がない場合には手術が必要となる場合があります。
関節鏡による手術治療
関節鏡(かんせつきょう)という、筒状のカメラを膝関節の中に挿入して半月板や靭帯、関節軟骨などの状態を確認したり修復したりする手術です。
通常下半身麻酔(腰からの麻酔)で行うことが多いです。
関節鏡や半月板の処置をするための機器を挿入するための創と、手術中は関節の中を水で膨らませて行うので、その水を還流させるための創など1か所1cm程度の切開を3~4箇所行って手術をします。
まず関節の中の状態をカメラで観察し、痛みの原因となっている部分がどこにあるのかを確認します。
半月板に損傷がある場合、基本的にはなるべく半月板を元の状態に戻すように手術のプランを考えます。
半月板縫合術
損傷を受けた半月板をもとの位置に戻して、糸や特殊なデバイスを使って縫合します。
外側1/3の血流がある部分(詳しくはこちら半月板損傷の形状をご覧ください)は縫合のみで修復される場合が多いですが、内側2/3の血流がない部分の損傷に対しては基本的には縫合しても修復はされにくいと考えられています。
フィブリンクロット法
内側2/3の損傷の場合は、半月板への血流がない部分のため、損傷部位の修復がされにくいです。
患者さん自身の血液を採取し、これを10分程度ガラス棒でかき混ぜ、固まらせてつくった「フィブリンクロット」を、糊のように半月板同士を接着する材料として使用する方法です。
損傷部位にフィブリンクロットを挿入し、挟みこむように半月板を縫合します。
半月板部分切除術
損傷部分が小さかったり、損傷の状態が強かったりして縫合が困難な場合には、関節の動きを妨げる損傷部位を部分的に切除する方法をとります。
半月板は膝をささえるという重要な役割を果たしていますので、あまり広範囲に切除すると、一次的に症状が軽減しても、膝が不安定になるため将来的に関節軟骨のすり減りが早まり、変形性膝関節症になる可能性が高くなる可能性があります。
できるだけ切除は最小限にとどめる必要があります。
術後の経過について
半月板部分切除の場合は術翌日から通常歩行を許可します。
半月板縫合をした場合には縫合する範囲や部位などにもよりますが、ある程度修復されるまで体重をあまりかけないようにコントロールする必要があります。
運動復帰までの期間は部分切除の場合で1-2か月程度、縫合術の場合には4-6か月程度かかります。
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