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変形性膝関節症の検査 変形性膝関節症の検査のイラスト

レントゲン撮影

膝関節レントゲンと実際の状態

変形性膝関節症の診断にレントゲン撮影は非常に重要ですが、実はレントゲン撮影で写るのは骨のみです。
骨の形や配置などから軟骨のすり減り具合などを想像します。
骨と骨の間には関節軟骨や半月板が存在していますが、これらの軟骨はレントゲンでは写らないため、軟骨の厚さだけ骨と骨の間に隙間があいているように写ります。
また、横になった状態で膝に荷重がかかっていないと、軟骨がすり減っていても隙間が開いて見えることもあり、しっかり評価するためには荷重をかけた状態でレントゲン撮影をすることが大切です。

レントゲンによる進行度評価

変形性膝関節症XP進行

骨の隙間(=軟骨の厚さ)は病期が進むのとともに狭くなってきます。
末期になると軟骨がすり減るだけでなく、骨が大きく変形していきます。
変形してできた余分な骨を骨棘(こつきょく)といいます。
以前は骨棘は不安定な状態となった関節で、関節包が骨を引っ張るためにできてくると考えられていましたが、最近では細かい骨折を繰り返してできると考えられています。
いわば骨が不安定になった膝をなんとか支えようとして起こる、生体の防御反応のようなものです。
逆に骨の隙間が残っており、軟骨がすり減っていないように見えても、骨棘がある場合には何らかの原因で不安定な状態になっていると想像できます。

進行度分類(KL分類)

変形性膝関節症KL分類

進行度分類
KL(Kellgren Lawrence分類)という分類が良く使用されます。
骨の隙間(関節裂隙(かんせつれつげき)といいます)や骨棘の状態によって変形の進行度を分類します。
変形性膝関節症の進行度分類
グレード0:正常
グレードⅠ:大きな変化はないが、わずかに骨硬化を伴う程度の、変形性膝関節症が疑われる状態
グレードⅡ:関節裂隙の狭小化を認めるが骨棘の形成は認めない
グレードⅢ:中等度で複数の骨棘、明確な関節裂隙狭小化、骨硬化、骨端部変形の可能性
グレードⅣ:大きな骨棘、著明な関節裂隙狭小化、高度の骨硬化、明確な骨端部変形
ただし、レントゲンでの進行度と痛みの程度は比例しません
軽微な変形でも強く痛みを感じたり、強く変形していてもあまり痛みを感じないこともあります。

MRI撮影

正常膝の画像所見

レントゲンでは描出することができない、関節軟骨、半月板、軟骨下骨等の状態を確認するために使用します。
全員におすすめするものではありませんが、レントゲンの印象とくらべ症状が強い場合や、なんども関節の中に水がたまるような、強い炎症が続く場合、痛みがなかなか取れず、何か他の原因が疑わしい場合などに撮影します。
関節軟骨がどこでどれくらいすり減っているか、半月板の損傷の有無、骨挫傷の存在、関節内にできた腫瘍などを判定することが可能です。
MRI撮影は磁力を用いて行いますので放射線の被ばくをする可能性はありません。

当院にはMRIがありませんので近隣の病院(平野総合病院や岐阜清流病院、岐阜市民病院など)にお願いして撮影をしていただき、その結果を当院外来で説明しています。
あらかじめ予約をお取りします。ご希望の方はご相談ください。

関節液検査

関節に水が溜まっている場合、穿刺(せんし=針をさして水を抜くこと)した関節液の性状を検査することがあります。
結晶の有無をしらべることで結晶誘発性関節炎を特定したり、含まれる白血球の数から関節リウマチや感染性関節炎などの鑑別に使用したりします。

お気軽にご相談ください。

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©医療法人幸鷺会

文責・監修森 敦幸

(整形外科専門医・日本スポーツ協会公認ドクター)

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