変形性膝関節症の痛みの原因

痛みを感じる2つの原因
変形性膝関節症は軟骨がすり減ることで症状が出現しますが、軟骨がすり減る=痛いというわけではありません。
そもそも痛みというものは、局所で炎症が起こり、その刺激が神経を伝わって脳に届くことで認識されます。
ところが軟骨自体には神経が通っておらず、すり減るだけでは痛みは感じないのです。
ではなぜ痛みを感じるのでしょうか?
大きく次の二つの理由が考えられています。
①軟骨下骨(なんこつかこつ)の損傷:
関節軟骨がすり減り、クッション性が落ちることで、骨同士が衝突して骨(軟骨下骨という、関節軟骨をささえる骨)の中に損傷が起こったり、骨の中で内出血をおこしたり(骨挫傷(こつざしょう)といいます)します。
骨が損傷を受けると骨の中にある神経が刺激を受け、痛みとして感知します。
②炎症性の痛み:
軟骨がけずれると、細かい軟骨の破片が関節内に散らばります。
これが滑膜(かつまく)という関節液を作り出している部分に付着すると、滑膜に炎症がおこり(滑膜炎といいます)、滑膜周辺の神経が刺激を受け、痛みを感知します。
軟骨がすり減るきっかけ
最近では軟骨がすり減り始める大きなきっかけの一つに半月板の損傷が関与していることが明らかになってきました。
半月板は膝を安定させるのに非常に大きな役割をはたしている軟骨です。
(膝のくわしい構造についてはこちら膝の構造についてをご覧ください)
内側の半月板の後根(こうこん)という付け根の部分が破綻(はたん)することで半月板が本来の位置からはずれて、支えることができなくなってしまいます。
半月板が本来の機能を果たせなくなると、関節軟骨にかかる負担が増えて削れやすくなったり、関節軟骨をささえる軟骨下骨に損傷がおきたりしやすくなります。
半月板の損傷はちょっとしたことがきっかけで起こります。
「段差を降りた際に膝の裏に違和感を生じた」などと言われる患者さんが多いです。
ただし変形性膝関節症でも半月板に異常がないこともあり、まだ不明な部分も多く今後の研究が期待されます。
原因に対する適切な治療
痛みの原因が①の骨挫傷の場合には、損傷を受けた骨に負担がかからないようにしていくことが大切です。
基本的には損傷を受けた骨が回復するのを待つのですが、負荷を減らすことで回復を早めることができます。
具体的にはサポーターや足底板などを使用して負担を減らします。
(サポーター、足底板についてくわしくはこちら膝の装具、サポーターについてをご覧ください)
②の炎症が中心の場合には炎症を抑えるような治療が効果的です。
(内服治療についてはこちら痛み止めの種類と効果をご覧ください)
両方が原因となっている場合もあります。
感じている痛みの原因をしっかりと考慮して適切な治療を選択することが大切です。
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