コラム
ご存知ですか?「骨卒中(こつそっちゅう)」
あまり聞き覚えのない言葉かもしれません。
脳卒中という言葉なら聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
そもそも「卒中」とは「卒中風(そっちゅうふう)」の略された言葉で、「卒」はにわかに、急におこるさまをさし、「中」はあたるという意味で使用されており、「中風」は元来、“風などの外界のしげきに中てられておこる病気”という意味を指していたようです。
そして突然半身不随になることを卒中気(そっちゅうき)や卒中風(そっちゅうふう)と呼んでいました。このため、地方によってはいまでも脳卒中で半身不随になることを“中気(ちゅうき)”や“中風(ちゅうぶ)”という呼び方が残っているそうです。
広辞苑によると卒中とは「卒中風の略。脳溢血または脳血栓・脳梗塞発作等の、 脳の循環障害により、突然意識を失って倒れ、深い昏. 睡状態に陥る症状。脳卒中」と定義されています。
本来は脳の疾患として使用する言葉ですが、この“卒中”という言葉の突然おこる、怖い、というイメージで世の人に広く知っていただくために作り出された言葉が”骨卒中“です。
骨卒中とは高齢者に生じる大腿骨近位部骨折(ふとももの骨の付け根で起こる骨折)や脊椎圧迫骨折(せぼねの骨折)のことを指します。
どちらも骨粗鬆症が原因となり、重いものを持ったり、しりもちをついたりする程度の外力でおこってしまう骨折です。
これらの骨折が通常の骨折と区別して”骨卒中“といわれる理由は、いったん起こしてしまうと一気に日常生活動作のレベルが下がってしまうことにあります。
それまで元気に歩いていた方が骨卒中になると、治療をうけたあとも杖が離せなくなったり、車椅子が必要となったりするようになってしまい、”寝たきり“、ひいては”死“の谷へ転落していくきっかけとなります。
また一度骨折を起こすと、再度同じような骨折を繰り返す危険性が高くなることがしられています。
これが「骨折の負の連鎖」です。この不幸な連鎖を起こさないようにするためには、最初の骨折をおこさないように骨粗鬆症早期に発見することが大切です。
骨粗鬆症というとご高齢の方の病気、というイメージがあるかもしれませんが、実は50-60代から徐々にはじまっているものです。
特に女性の場合は閉経とともに急速に骨密度が低下していくため、自分の骨密度がどれくらいなのかを知っていただき、まだ骨粗鬆症になっていないならば食生活や運動などに気を付ける、骨粗鬆症と診断されてしまったときにはできるだけ早期に骨粗鬆症の治療を開始する必要があります。骨密度検査についてはこちら
長く健康にすごすため、骨卒中にならないよう心がけていきましょう。
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